イタチコーヒーとコピルアクはどう違う?

イタチコーヒーとコピルアクはどう違う?5つの差を比較

Table of Contents

イタチコーヒーは、英語で「ウィーゼルコーヒー(weasel coffee)」と呼ばれる、ベトナムのジャコウネコのコーヒー「カフェ・チョン(cà phê chồn)」の通称です。ベトナムのコピルアクと紹介されることもあります。そして多くの人が驚くのが、実はイタチはまったく関わっていないということです

ベトナムのものも、インドネシアで作られるコピルアクも、同じマレージャコウネコから生まれます。つまりこれは、違う動物の比較ではありません。ひとつの自然な製法が2つの国で受け継がれ、まったく異なる結果を生んでいるという話です。

ジャコウネコとイタチの違い

ジャコウネコ科とイタチ科は別の動物

コーヒーの実を食べるのは、ジャコウネコ科に属するマレージャコウネコです。一方、イタチはイタチ科の動物で、分類上はまったく別のグループに属しています。

なぜ「イタチ」と呼ばれるようになったのか

混乱の原因は2つあります。ひとつは、初期の翻訳者が英語圏の読者になじみのある言葉として「weasel(イタチ)」を選んだこと。もうひとつは、細長い体つきが似ていることです。その呼び名が英語の商品名として定着し、日本でも「イタチコーヒー」という名前で知られるようになりました。

イタチコーヒーとコピルアクの5つの違い

1. 豆:ベトナムはロブスタ、インドネシアは両方

ベトナムのコーヒーは、1857年にフランスの宣教師によって持ち込まれたとされています。いまやベトナムはブラジルに次ぐ世界第2位のコーヒー生産国で、その生産量の約97%をロブスタ種が占めています(ベトナムのコーヒー生産)。中部高原のバンメトートを中心とする産地が、その生産を支えています。そのため、ベトナムのコピルアクも、ほとんどがロブスタ種から作られます。

インドネシアの火山の地形は、標高1,200mを超える高地でのアラビカ種と、低地でのロブスタ種の両方を育てます。糖分をたっぷり含んだ高地のアラビカ種の実は、ジャコウネコの体内の酵素にとって、格好の原料になります。Kopiluwak Coffeeでも、アチェ ガヨ、キンタマーニ、トラジャのアラビカ種に加え、ロブスタ ルワックをご用意しています。

2. 生産方法:ベトナムは飼育中心、インドネシアは野生回収の伝統

ベトナムでは、ダラットなどの観光地の近くにジャコウネコの飼育施設があり、檻の中の個体に決まった時間にコーヒーチェリーを与えて、安定した量を生産しています。しかし檻の中のジャコウネコは、自由に歩き回って最も熟した実だけを選ぶことができません。そもそも、その選別こそがこのコーヒーの価値の源なのです。

一方、インドネシアの上質なコピルアクの伝統は、野生回収にあります。自由に暮らすジャコウネコが自分で実を選び、人はその豆を森や農園の地面から毎日拾い集めます。収穫量は季節に左右され、ごくわずかで、すべてが手作業です。飼育の問題点については、倫理面の解説記事をご覧ください。

3. 味:濃く力強い一杯か、なめらかで酸味の穏やかな一杯か

ロブスタ種は一般にアラビカ種の約2倍のカフェインを含むとされ、苦味が強く、ボディも重い傾向があります。ジャコウネコの体内での発酵はその角をやわらげますが、品種そのものを変えることはできません。さらにベトナムでは、豆を深煎りにし、バターや油を加えて焙煎することも伝統的に行われてきました。その結果、ベトナムの一杯は濃厚でスモーキー、チョコレートシロップのような味わいになります。

インドネシアで作られるコピルアクは、中煎りで発酵の効果を生かすのが一般的です。酸味は穏やかで、シルクのようになめらかなボディと、すっきりした余韻が特徴です。詳しくは味わいの解説記事をご覧ください。

4. 飲み方:フィンとコンデンスミルクか、ブラックでゆっくりか

ベトナムコーヒーといえば、「フィン」と呼ばれる小さなフィルターで数分かけて一滴ずつ抽出し、甘いコンデンスミルクの上に注ぐスタイルです。新鮮な牛乳ではなくコンデンスミルクが使われてきたのは、熱帯の気候でも手に入りやすく、保存しやすかったためです。そしてコンデンスミルクは、深煎りロブスタの力強さを受け止めるのにぴったりの組み合わせでもあります。

インドネシアでは、コピルアクをブラックで楽しむのが一般的です。浸漬式やドリップ、インドネシア伝統のトゥブルックなどで淹れ、ゆっくり味わいます。ミルクや砂糖が担うはずの「やわらげる」役割を、ジャコウネコがすでに果たしてくれているからです。おすすめの淹れ方は飲み方のガイドで紹介しています。

5. 値段:日常の中のエキゾチックか、世界有数の高価なコーヒーか

イタチコーヒーの値段は、一般に1kgあたり50〜150米ドルほどで、中価格帯からやや高めの位置にあります。飼育による生産は量が安定しているため、価格を抑えやすいのです。一方、インドネシアの野生のコピルアクは、海外の小売価格で1kgあたり数百米ドルになることも珍しくありません。季節に左右されるわずかな収穫、一粒ずつの回収、手作業での選別と不良豆の除去。そのすべてが価格に反映されます。背景は価格の解説記事や1kgあたりの相場の記事で詳しく紹介しています。

価格は、どちらの市場でも本物かどうかを見分けるサインになります。「野生」と表示されたコピルアクが飼育されたベトナム産並みの価格で売られていたら、本物である可能性は低いでしょう。また、極端に安いベトナム産の商品は、そもそもジャコウネコを経ていない豆であることが少なくありません。

元祖はどちら?答えはインドネシア

どちらが先かといえば、答えははっきりしています。ジャコウネコのコーヒーは、植民地時代のインドネシアのコーヒー農園で生まれ、ベトナムよりも先にこの習慣が根づきました。その経緯はインドネシアで生まれた歴史の記事で詳しく紹介しています。

どちらの市場にもある偽物に注意

イタチコーヒーにもコピルアクにも、偽物は存在します。次のようなサインには注意しましょう。

  • 現実的な価格帯を大きく下回る価格
  • どこで、どのように回収したのかの説明がない
  • 本来は希少なはずなのに、在庫がいつでも無制限にある
  • 証明書類を示せない

ベトナムのコピルアクには、さらに特有の問題があります。普通の豆を酵素に浸してジャコウネコの効果をまねた「模造イタチコーヒー」とも呼べる商品が存在し、ありえないほど安い価格で、本物と同じ名前で売られていることがあるのです。具体的な見分け方は、偽物を見分ける6つのサインの記事で解説しています。野生回収であることを確かめたい方は、当社の認証もご覧ください。

Our Products