USDAオーガニックとは?コーヒー事業者が知っておきたい認証の基準と、日本での表示の注意点

USDAオーガニックとは?コーヒー認証と日本での表示ルール

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コーヒーを選ぶとき、どのように育てられ、どのように加工されたのか、そしてその方法が環境に配慮したものだったのかを気にする人が増えています。その問いに答えるわかりやすいしるしのひとつが、USDAオーガニックです。生豆や焙煎豆、そのまま飲める商品を扱う事業者にとって、この認証は袋の飾りではなく、国際的に知られた有機農業の基準を満たしていることを示す公式な証明になります。この記事では、この認証がコーヒーにとって何を意味するのか、事業者にとってなぜ重要なのか、そして日本で販売するときに気をつけたい点までを解説します。

USDAオーガニックとは:コーヒーにとっての意味

米国農務省の全米有機プログラムが定める基準

USDAオーガニックは、米国農務省(USDA)の全米有機プログラム(NOP)が定める有機基準です。NOPは、米国で販売される有機農産物の基準をつくるとともに、農場や事業者を審査する第三者の認証機関を認定しています(全米有機プログラムの概要(英語))。

畑から加工まで:コーヒーに求められること

基準の対象は、畑の管理から収穫、そして洗浄や乾燥といった収穫後の加工まで、生産の流れ全体に及びます。主なルールは次のとおりです(USDAの有機基準(英語))。

  • 収穫の少なくとも3年前から、禁止された物質を使っていない土地であること
  • 土づくりは、耕作や輪作、カバークロップ(被覆作物)などで行うこと
  • 病害虫や雑草への対策は、物理的・生物的な方法を優先し、それで足りない場合も、認められた資材(ナショナルリスト)だけを使うこと
  • 遺伝子組み換え、放射線の照射、下水汚泥の使用は禁止

自己申告ではなく、第三者が審査するUSDAオーガニック認証

この認証は、生産者が自分で名乗れるものではありません。USDAが認定した認証機関の審査を受け、認証を取ったあとも定期的な検査を受け続ける必要があります。商品のラベルも、使う前に認証機関の確認と承認を受けなければなりません。

ラベルの4つの区分

ラベルは、有機原料の割合によって4つに分かれています。USDAのシールを付けられるのは、上の2つだけです(USDAの表示ルール(英語))。

区分有機原料の割合(水と塩を除く)USDAシール
100 Percent Organic100%使用できる
Organic95%以上使用できる
Made with Organic70%以上使用できない
原材料表示のみ70%未満使用できない

コーヒー事業者が真剣に考えるべき理由

コーヒーは、サステナビリティへの関心がとりわけ高い分野です。米国や欧州の買い手には、購入の前に有機の表示を確かめる人が少なくありません。カフェや海外の卸業者と取引する輸出業者にとっては、認証がないだけで、商談の前に候補から外されてしまうこともあります。

健康や環境への関心から、有機の表示を手がかりに商品を選ぶ消費者も増えています。混み合った市場のなかで、ブランドの違いを伝える材料にもなります。

有機認証がもたらすビジネス上のメリット

USDAオーガニック認証には、事業者にとって次のようなメリットがあります。

  • 有機認証を取引の条件とする輸出市場に参入できる
  • 確かめられる裏づけがあるため、価格に見合う価値を説明しやすい
  • 品質や環境を重視するお客様からの、長期的な信頼につながる
  • 環境と土壌を守る農業を続けるきっかけになる
  • 大手の卸業者や取引先との交渉で、立場を強くできる

中価格帯から高価格帯のコーヒーを扱う事業者のあいだでは、有機認証を、単なる販促の道具ではなく、成長の土台として考える動きが広がっています。

認証を取得するまでの課題

3年間の移行期間

認証は、すぐに取れるものではありません。前述のとおり、収穫の少なくとも3年前から禁止物質を使っていないことが条件です。そのため、これから有機に切り替える農地は、認証を申請できるようになるまで、移行期間を過ごす必要があります。

毎年の検査と、詳しい記録

認証を取ったあとも、年ごとの検査の費用、生産の詳しい記録、収穫のたびに基準を守り続ける努力が求められます。こうした費用と手間は、小規模な農家にとって最も大きな壁になります。

輸入する側にも、認証が求められるようになった

2024年3月19日からは、米国に輸入されるすべての有機製品に、NOPの輸入証明書が必要になりました。輸出する側も輸入する側も、有機の認証を受けていることが求められます(CCOFによる解説(英語))。米国向けに有機コーヒーを扱うなら、生産者だけでなく、流通に関わる事業者も準備が必要です。

小規模農家と一緒に取り組む

大きな事業者が、取引先の農家に基準を説明し、移行期間を一緒に乗り越えることで、認証は共同の取り組みになります。インドネシアでも、たとえばアチェ州のガヨ高地には、470ヘクタールを超える有機認証の農地を女性農家たちで管理している組合があります(フェアトレード・インターナショナルの紹介記事(英語))。

有機JASとUSDAの違い:日本で「オーガニック」と表示するには

日本のコーヒー事業者が特に気をつけたいのが、ここからの内容です。

日本では、有機JASマークがなければ「オーガニック」と表示できない

日本では、有機JASマークのない農産物や加工食品に「有機」「オーガニック」などと表示することは、法律で禁止されています(農林水産省:有機食品の検査認証制度)。米国の有機認証を受けていても、それだけで日本で「オーガニック」と表示できるわけではありません。

比べるポイント有機JASUSDAオーガニック
制度を運営する機関農林水産省米国農務省(USDA)
コーヒーのような多年生作物の畑の条件最初の収穫前3年以上、禁止資材を使わない収穫前3年以上、禁止物質を使わない
加工食品の基準原則として原材料の95%以上が有機区分によって95%以上、70%以上など
表示に必要なもの有機JASマークUSDAシール(上位2区分のみ)

有機JASの畑の条件は、有機農産物の日本農林規格で定められています。

米国との同等性と、その対象範囲

日本と米国は、互いの有機制度を同等と認めています。ただし、農林水産省のQ&Aによると、その対象は日本か米国で生産されたもの、または日本か米国で最終的に加工や包装、表示が行われたものです。輸入には、JASの認定を受けた輸入業者による手続きや、USDAの輸出証明書も必要になります(同等性を利用した有機製品の対米輸出入に関するQ&A)。

インドネシアから直接輸入するオーガニックコーヒーの認証

つまり、インドネシアで生産されてUSDAオーガニックの認証を受けたコーヒーでも、米国を経由せずに日本へ直接輸入する場合は、この同等性の仕組みを使えません。日本で「オーガニック」と表示するには、有機JASの認証を受ける必要があります(ジェトロ:有機食品の表示制度)。オーガニックコーヒーの認証を考えるときは、販売する国の制度に合わせて選ぶことが大切です。

Kopiluwak Coffeeの考え方

当社の商品は、USDAオーガニックや有機JASの認証を受けたものではありません。そのため、日本では「オーガニック」とは表示していません。

そのうえで大切にしているのは、書類だけでなく、現場での取り組みです。当社の豆は、野生のジャコウネコが自分で選んで食べた完熟の実から生まれるもので、回収から出荷までの工程で添加物は使っていません。洗浄や乾燥、焙煎の流れは、安全性についての記事にまとめました。どのロットも、どの地域の森で回収したものかを記録しています。その裏づけとなる書類は認証のページでご覧いただけます。

現在お取り扱いしているのは、アチェ州のアチェ ガヨ ルワック(1kg 35〜78米ドル)、バリ島のバリ キンタマーニ ルワック(同35〜109米ドル)、ジャワ島イジェン高原のジャワ ルワック(同35〜78米ドル)、スラウェシ島のトラジャ ルワック(同35〜78米ドル)、そしてスマトラ島の低地で育つロブスタ種のロブスタ ルワック(同25〜73米ドル)の5種類です。

認証制度は有機だけではありません。生産者への公正な対価を保証する仕組みについては、フェアトレードの仕組みを解説した記事もご覧ください。卸売りのご相談や、サンプルのご案内も承っています。

USDAオーガニックは、お客様の信頼と世界での競争力を求める事業者にとって、長い目で見た投資です。時間と手間はかかりますが、市場の広がりと、長く付き合ってくれるお客様という形で返ってきます。ただし日本で販売するなら、有機JASという日本のルールもあわせて押さえておきましょう。

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