USDAオーガニックとは?コーヒー事業者が知っておきたい認証の基準と、日本での表示の注意点

コーヒーを選ぶとき、どのように育てられ、どのように加工されたのか、そしてその方法が環境に配慮したものだったのかを気にする人が増えています。その問いに答えるわかりやすいしるしのひとつが、USDAオーガニックです。生豆や焙煎豆、そのまま飲める商品を扱う事業者にとって、この認証は袋の飾りではなく、国際的に知られた有機農業の基準を満たしていることを示す公式な証明になります。この記事では、この認証がコーヒーにとって何を意味するのか、事業者にとってなぜ重要なのか、そして日本で販売するときに気をつけたい点までを解説します。 USDAオーガニックとは:コーヒーにとっての意味 米国農務省の全米有機プログラムが定める基準 USDAオーガニックは、米国農務省(USDA)の全米有機プログラム(NOP)が定める有機基準です。NOPは、米国で販売される有機農産物の基準をつくるとともに、農場や事業者を審査する第三者の認証機関を認定しています(全米有機プログラムの概要(英語))。 畑から加工まで:コーヒーに求められること 基準の対象は、畑の管理から収穫、そして洗浄や乾燥といった収穫後の加工まで、生産の流れ全体に及びます。主なルールは次のとおりです(USDAの有機基準(英語))。 自己申告ではなく、第三者が審査するUSDAオーガニック認証 この認証は、生産者が自分で名乗れるものではありません。USDAが認定した認証機関の審査を受け、認証を取ったあとも定期的な検査を受け続ける必要があります。商品のラベルも、使う前に認証機関の確認と承認を受けなければなりません。 ラベルの4つの区分 ラベルは、有機原料の割合によって4つに分かれています。USDAのシールを付けられるのは、上の2つだけです(USDAの表示ルール(英語))。 区分 有機原料の割合(水と塩を除く) USDAシール 100 Percent Organic 100% 使用できる Organic 95%以上 使用できる Made with Organic 70%以上 使用できない 原材料表示のみ 70%未満 使用できない コーヒー事業者が真剣に考えるべき理由 コーヒーは、サステナビリティへの関心がとりわけ高い分野です。米国や欧州の買い手には、購入の前に有機の表示を確かめる人が少なくありません。カフェや海外の卸業者と取引する輸出業者にとっては、認証がないだけで、商談の前に候補から外されてしまうこともあります。 健康や環境への関心から、有機の表示を手がかりに商品を選ぶ消費者も増えています。混み合った市場のなかで、ブランドの違いを伝える材料にもなります。 有機認証がもたらすビジネス上のメリット USDAオーガニック認証には、事業者にとって次のようなメリットがあります。 中価格帯から高価格帯のコーヒーを扱う事業者のあいだでは、有機認証を、単なる販促の道具ではなく、成長の土台として考える動きが広がっています。 認証を取得するまでの課題 3年間の移行期間 認証は、すぐに取れるものではありません。前述のとおり、収穫の少なくとも3年前から禁止物質を使っていないことが条件です。そのため、これから有機に切り替える農地は、認証を申請できるようになるまで、移行期間を過ごす必要があります。 毎年の検査と、詳しい記録 認証を取ったあとも、年ごとの検査の費用、生産の詳しい記録、収穫のたびに基準を守り続ける努力が求められます。こうした費用と手間は、小規模な農家にとって最も大きな壁になります。 輸入する側にも、認証が求められるようになった 2024年3月19日からは、米国に輸入されるすべての有機製品に、NOPの輸入証明書が必要になりました。輸出する側も輸入する側も、有機の認証を受けていることが求められます(CCOFによる解説(英語))。米国向けに有機コーヒーを扱うなら、生産者だけでなく、流通に関わる事業者も準備が必要です。 小規模農家と一緒に取り組む 大きな事業者が、取引先の農家に基準を説明し、移行期間を一緒に乗り越えることで、認証は共同の取り組みになります。インドネシアでも、たとえばアチェ州のガヨ高地には、470ヘクタールを超える有機認証の農地を女性農家たちで管理している組合があります(フェアトレード・インターナショナルの紹介記事(英語))。 有機JASとUSDAの違い:日本で「オーガニック」と表示するには 日本のコーヒー事業者が特に気をつけたいのが、ここからの内容です。 日本では、有機JASマークがなければ「オーガニック」と表示できない 日本では、有機JASマークのない農産物や加工食品に「有機」「オーガニック」などと表示することは、法律で禁止されています(農林水産省:有機食品の検査認証制度)。米国の有機認証を受けていても、それだけで日本で「オーガニック」と表示できるわけではありません。 比べるポイント 有機JAS USDAオーガニック 制度を運営する機関 農林水産省 米国農務省(USDA) コーヒーのような多年生作物の畑の条件 […]
フェアトレード認証とは?コーヒーを扱う事業者が知っておきたい仕組みと価値

フェアトレード認証のマークは、スペシャルティコーヒーの店頭に並ぶ多くの袋で見かけるようになりました。多くのお客様は、このマークを「売り手だけでなく、生産者もきちんと扱われている」というしるしとして受け取ります。どこで買うかを決める材料にもなっている以上、コーヒーを扱う事業者は、この認証が実際に何を意味するのかを理解しておく必要があります。この記事では、認証の仕組み、コーヒー事業者にとっての意味、そして知っておきたい課題までを、インドネシアの産地の立場から解説します。 フェアトレード認証とは何か フェアトレード認証は、コーヒーをはじめとする製品が、社会・経済・環境の基準を満たしたサプライチェーンを通ってきたことを示す仕組みです。国際フェアトレード基準は、フェアトレード・インターナショナルが定めています(国際フェアトレード基準)。中心となるのは、次の3つです。 価格が下がっても守られる「フェアトレード最低価格」 コーヒーの国際価格は、豆の品質とは関係のない理由で大きく上下します。フェアトレード最低価格は、市場価格が下がったときでも、生産者組合が一定以上の価格を受け取れるようにするための安全網です。2026年7月の発表によると、水洗式アラビカ種の最低価格は1ポンド(約454g)あたり1.80米ドルから2.00米ドルに引き上げられ、2026年12月1日以降の契約から適用されます(フェアトレード・インターナショナルの発表(英語))。 地域に投資される「フェアトレードプレミアム」 最低価格とは別に、生産者組合には1ポンドあたり20米セントのフェアトレードプレミアムが支払われます。有機栽培のコーヒーには、さらに40米セントの上乗せがあります。プレミアムの使い道は、組合が自分たちで話し合って決めます。 インドネシアにも、その実例があります。スマトラ島アチェ州のガヨ高地にある女性だけのコーヒー組合「コペラシ・コピ・ワニタ・ガヨ」は、2015年に認証を取得しました。15の村の674人を超える女性農家が加わり、プレミアムを使って5万本の木を植え、診療所の設備や村の救急車、収穫期に母親が働けるようにするための保育施設などを整えてきました(フェアトレード・インターナショナルの紹介記事(英語))。 労働条件と、第三者による監査 基準は価格だけではありません。適正な賃金、安全な作業環境、児童労働や強制労働の禁止など、農園での働き方も対象になります。基準を守っているかどうかは、独立した認証機関であるFLOCERTが確認します。FLOCERTは、農園や工場での実地監査、書類の審査、働く人への聞き取りなどを行います(認証・監査制度について)。 フェアトレード認証マークが示すもの コーヒーの袋に付いているフェアトレード認証マークは、その製品が国際フェアトレード基準に沿って取引されたことを示すものです。ただし、「フェアトレード」とうたう取り組みは一種類ではありません。製品ごとに認証する国際フェアトレード認証ラベルのほかに、団体の活動全体を認定する世界フェアトレード連盟(WFTO)の仕組みや、企業や団体が独自の基準で生産者と直接取引する形もあります(ACEによる解説)。米国には、Fair Trade USAが運営する別の認証制度もあります。マークを見るときは、どの制度のものかを確かめることが大切です。 コーヒー事業者にとって、なぜ重要なのか 生産者が受け取るコーヒーの価格は、天候や為替、投機など、豆の品質とは関係のない理由で大きく揺れ動きます。この認証は、こうした不安定さから農家を守るためにつくられました。認証に参加する事業者は、サプライチェーンの出発点にいる生産者を置き去りにしていないことを、お客様に示すことができます。 倫理的な調達は、もはや一部の人だけの関心事ではありません。特に若い世代のお客様は、コーヒーがどこから来て、生産者に適正な対価が支払われたのかを気にかけています。その問いに答えられない事業者は、はっきりと答えられる競合と比べて、見劣りしてしまうおそれがあります。 認証がもたらすビジネス上の価値 認証を取り入れることには、事業者にとって次のような価値があります。 こうした価値は、すぐに表れるものではなく、時間をかけて積み上がっていきます。公正な調達を証明できる事業者は、お客様に長く選ばれやすくなります。信頼は、広告だけではなかなか手に入らないものだからです。 認証を取得するために必要なこと 生産者組合の申請と、実地監査 認証の取得は、チェックボックスに印をつけるだけで終わるものではありません。生産者組合は、販売を始める前に申請して実地での初回監査を受け、価格、労働条件、プレミアムの使い道について詳しい記録を残す必要があります。認証は3年ごとのサイクルで、その間にも中間監査や日々のデータの確認があり、基準を守り続けることが求められます。 トレーダーや製造者にも、認証とライセンスが必要 認証が必要なのは、生産者だけではありません。輸入や製造、卸を行う事業者も、書類の審査を経て仮認証を受け、9か月以内に初回監査を受けます。さらに、自社ブランドの製品に認証マークを付けて販売するには、ライセンスの申請が必要です。日本で認証製品を扱いたい場合は、フェアトレード・ジャパンが相談や申請の支援を行っています(認証・監査制度について)。 小規模農家を支える、買い手の役割 組合の仕組みがまだ整っていない地域の小規模農家にとって、認証の手続きは大きな負担です。そうした農家と取引する事業者が、書類の作成や基準への対応を手助けすることで、認証の取得が現実的なものになる場合もあります。 フェアトレードコーヒーの問題点も知っておく この認証は大切な仕組みですが、万能ではありません。取り入れるかどうかを判断するために、限界も知っておきましょう。 認証された豆が、すべてフェアトレード条件で売れるわけではない 生産者組合が認証を受けても、その豆がすべてフェアトレードの条件で買い取られるとは限りません。フェアトレード・インターナショナルの資料によると、2023年にコーヒーの生産者組合がフェアトレードの条件で販売できたのは、平均で全体の35%でした(フェアトレード・インターナショナルの資料(英語))。残りは、通常の市場価格で売られていることになります。 効果は、すべての人に同じように届くわけではない 効果の届き方にも差があるという研究があります。コスタリカの精製所を対象にした研究では、恩恵を受けたのは主に技能を持つ農園主で、雇われて働く人たちの所得には統計的に意味のある改善が見られなかったと報告されています(米国経済研究所(NBER)の解説(英語))。認証があることと、生産地のすべての人の暮らしが良くなることは、必ずしも同じではありません。 ダイレクトトレードという選択肢:Kopiluwak Coffeeの取り組み 認証制度のほかに、生産者と直接取引する「ダイレクトトレード」という方法もあります。Kopiluwak Coffeeは、インドネシア各地の小さな農村コミュニティと直接取引しています。なお、当社の商品はフェアトレード認証を受けたものではありません。その代わりに、何層にも重なる仲介業者を通さないことで、生産者や加工に携わる人たちの手元により多くの価値が残るようにしています。 適正な価格と生産者への敬意という考え方は、フェアトレードと共通するものです。公正さを考えるのは人に対してだけではありません。ジャコウネコとの関わり方については、檻を使わない理由をまとめた記事もご覧ください。 直接取引しているからこそ、ロットごとに品質と産地をたどることができます。産地はアチェ州のガヨ高地、バリ島のキンタマーニ、ジャワ島、スラウェシ島のトラジャです。野生回収であることを示す書類は、認証のページでご確認いただけます。 それぞれの産地の違いは5つの産地の比較で、業務用のご注文の流れは事業者向けのご案内で紹介しています。卸売りやプライベートブランドのご相談も承っています。まずは品質を確かめたい方は、サンプルポリシーをご覧ください。 フェアトレード認証は、コーヒー産業を支える農家を守るためにつくられた、体系立った仕組みです。正式な認証を取るにしても、透明性のある直接取引を選ぶにしても、その考え方を事業に取り入れることは、これからのコーヒー事業者にとって欠かせない前提になっていくでしょう。お客様は、それを当たり前のこととして求めるようになっているからです。 Pippo ArdillesPippo is an expert in Kopi Luwak with a deep passion for exploring […]
コピルアクを飲んでも大丈夫?安全といえる5つの理由を科学的に解説

コピルアクを飲んでも大丈夫なのか。ジャコウネコのお腹を通った豆だと聞けば、汚いのではないかと不安になるのは自然なことです。先に答えをお伝えすると、きちんと処理されたコピルアクは、ほかのコーヒーと同じように安心して飲めると考えられています 豆は回収されたあと、何段階もの洗浄、天日での乾燥、脱殻を経て、高温で焙煎されます。この一連の工程が、変わった出どころに由来する汚れを取り除き、残ったものも熱で処理するからです。ここからは、その理由を一つずつ見ていきましょう。 コピルアクを飲んでも大丈夫といえる5つの理由 1. 豆はパーチメントコーヒーの状態で守られている コーヒーの実の中で、豆は「パーチメント」と呼ばれる硬い殻に包まれています。ジャコウネコが消化するのは、その外側の果肉だけです。豆は殻に包まれたまま、形を保って体の外へ出てきます。この殻つきの状態をパーチメントコーヒーと呼びます。 たとえるなら、台所を通り抜けた卵のようなものです。殻の外側が汚れても、中身には触れていません。汚れが付いているのは殻の外側であり、このあとの工程で取り除かれるのも、その外側です。排出された豆が、植えれば芽を出せるほど傷んでいないことも、豆の中身が守られている目安とされています。この考え方は、イスラム法学の視点から洗浄の条件を整理した記事でも詳しく紹介しています。 2. 何段階もの洗浄で、外側ごと取り除く 回収した豆は、流水で何度も洗います。洗うたびに外側の層が落ち、最後は脱殻の段階で、パーチメントそのものも取り除かれます。つまり、ジャコウネコの体に触れた表面は、ただ洗い流されるだけでなく、物理的に取り去られて捨てられるのです。 野菜や果物を洗うときは、洗った表面をそのまま食べます。それと比べると、コピルアクの処理は一段と念入りだと言えます。回収から焙煎までの流れは、工程をまとめた記事でもご覧いただけます。 3. 乾燥で、コーヒー豆のカビや細菌が増えにくい状態にする 洗浄した豆は、天日で乾燥させ、豆の中の水分値を12.5%前後以下まで下げます。この水準まで乾燥させると、細菌やカビは増えにくくなります。穀物や干物が長持ちするのと同じ考え方です。乾燥させた豆は保管や輸送のあいだも安定しているため、洗浄で得られた清潔さが焙煎の前に損なわれることもありません。水分値の基準は、インドネシアの規格を解説した記事で詳しく紹介しています。 コーヒー豆のカビといえば、カビ毒のひとつであるオクラトキシンAを心配される方もいるでしょう。厚生労働省の資料によると、国内で調べたコーヒー豆44試料のうち86.4%は、定量できる量を下回っていました(厚生労働省の資料)。これはコーヒー豆全般の調査結果ですが、しっかり乾燥させ、湿気を避けて保管することの大切さは、コピルアクでも変わりません。 4. 焙煎は、食品の加熱の目安をはるかに超える 厚生労働省は、家庭で食中毒を防ぐ加熱の目安として、食品の中心部を75℃で1分間以上加熱することを挙げています(家庭でできる食中毒予防の6つのポイント)。一方、コーヒーの焙煎では、焙煎機の中が200℃近くまで上がります(焙煎の解説)。豆はその高温に長い時間さらされるため、それまでの工程のあとに残った微生物も、ここで処理されることになります。 さらに、飲む前には沸騰直後のお湯で抽出します。焙煎のあとにも、もうひとつの熱の関門があるわけです。 5. 研究でも、市場に出回る豆はきれいな状態だった 食品科学者のマッシモ・マルコーネ氏は、コピルアクの豆を実験室で分析し、その結果を学術誌Food Research Internationalに発表しました(マルコーネ氏の論文)。2004年にこの研究を紹介したゲルフ大学の発表によると、ジャコウネコの豆はもともと通常の豆より汚れの度合いが高いものの、回収後に流水で丁寧に洗われるため、市場に出回っている豆はかなりきれいな状態だったとされています(ゲルフ大学の発表(英語))。 ジャコウネコのコーヒーは汚い?不安が生まれる理由 安全性は「きちんと処理されたかどうか」で決まる コピルアクを飲んでも大丈夫と言えるのは、あくまで「きちんと処理されたもの」に限られます。洗浄を省いたり、乾燥が不十分なまま売ったりすれば、安全を支えている工程そのものが抜け落ちてしまいます。ジャコウネコのコーヒーは汚いという印象が生まれるのも、こうした手を抜いた生産者や、偽物を売る業者が市場に存在するからです。檻で飼育されたジャコウネコから大量につくられる豆には、檻飼育の問題もあります。 コピルアクの衛生面で、注文前に確かめたいこと コピルアクの衛生面は、豆が袋に詰められるまでの処理で決まります。だからこそ、どんな生産者から手に入れるかが重要です。確かめたいのは、次のような点です。 本物であることを示す書類をきちんと出せる生産者は、処理も丁寧であることが多いものです。ラベルの読み方は、表示をうのみにしないためのチェックポイントの記事が参考になります。 よくある質問 猫アレルギーでも飲めますか? ジャコウネコは、名前に「ネコ」とつきますが、ネコ科ではなくジャコウネコ科の動物です。また、豆は洗浄と焙煎を経ています。ただし、アレルギーへの影響を調べた研究は見当たらないため、心配な方は医師にご相談ください。 カフェインの量は、普通のコーヒーと同じですか? コピルアクに限ったカフェイン量の公的なデータはありません。食品安全委員会の資料では、一般的なコーヒーの浸出液100mlあたりのカフェインは60mgとされ、欧州食品安全機関(EFSA)は、健康な成人で1日400mg、妊娠中の方で1日200mgまでを目安としています(食品中のカフェインのファクトシート)。なお、ロブスタ種はアラビカ種よりカフェインが多い品種です。詳しくは品種によるカフェインの違いを解説した記事をご覧ください。 生豆やパーチメントの状態で買っても大丈夫ですか? はい。ただし、生豆やパーチメントは農産物の状態なので、焙煎してから飲むことが前提です。焙煎前の豆は、湿気を避けて保管してください。生豆を扱うときの注意点は、生豆の購入ガイドで紹介しています。 安全性を書類で確かめられる、当社のコピルアク Kopiluwak Coffeeの豆は、この記事で紹介したすべての工程を経ています。加えて、洗浄後には紫外線による処理を行い、すべてのロットをSCA(スペシャルティコーヒー協会)認定のQグレーダーが評価しています。原料は森で暮らす野生のジャコウネコが残した豆だけで、ロットごとに処理の記録を残しています。出どころを示す書類は認証のページで公開しています。 商品 品種 1kgあたりの価格 産地 アチェ ガヨ ルワック アラビカ種 35〜78米ドル スマトラ島アチェ州ガヨ高地 バリ キンタマーニ ルワック アラビカ種 35〜109米ドル […]
コピルアクはハラールか?イスラム法学の議論と、飲む前に確かめたいこと

コピルアクはハラールなのか。ムスリムの方や、ムスリムのお客様を迎える飲食店・ホテルの方から、よくいただく質問です。結論から言うと、インドネシアとマレーシアの宗教機関は、豆が一定の条件を満たし、きちんと清められていれば許されるという判断を示しています 一方で、これを認めない学者もいます。さらに近年は、檻で飼育されたジャコウネコからつくられるものについて、「良いもの(タイイブ)」と言えるのかという倫理面の問いも重くなっています。この記事では、イスラム法学の論点、各地のファトワ(宗教見解)、そして倫理の問題を順に整理します。 コピルアクとは:議論の前提となる事実 ジャコウネコが実を食べ、豆が殻ごと排出される コピルアクは、ジャコウネコが熟したコーヒーの実を食べ、果肉だけを消化して、硬い殻(パーチメント)に包まれた豆を排出することから生まれるコーヒーです。消化の過程で豆の成分が変わり、苦味がやわらぐと言われてきました。インドネシアの農園で、地元の人々が落ちている豆を拾い集めたのが始まりとされています。 森での回収から、檻での量産へ もともとは、森や農園に落ちている豆を拾い集める、ごく少量の産物でした。ところが価格が上がるにつれて、野生のジャコウネコを捕まえて小さな檻に閉じ込め、コーヒーの実ばかりを与えて量産する生産者が現れました。この変化が、後で触れる倫理面の問題につながっています。檻飼育の実態は、当社のブログで詳しく解説しています。 「ジャコウネコの効果」には科学的な疑問もある ジャコウネコが良い実を選び、消化が味を良くするという説明には、専門家から疑問も出ています。たとえば2021年の論文では、これまでの分析で見られた成分の違いは、ジャコウネコの消化ではなく、糖分の多いリベリカ種の実を野生のジャコウネコが好んで選んでいたことによるのではないか、という仮説が示されています(Lachenmeier & Schwarz、2021年)。また、市場には混ぜ物や偽物も少なくありません。 イスラム法学の論点:ナジスと「清める」という考え方 ハラール、ハラーム、そしてシュブハ イスラム法では、許されているものをハラール、禁じられているものをハラームと呼びます。その中間にある疑わしいものはシュブハと呼ばれ、できるだけ避けるべきものとされています(ハラールの解説)。食べ物は、禁じられていない限り基本的にハラールです。ただしムスリムは、単に許されているだけでなく、「ハラールで、かつ良いもの(ハラーラン・タイイバン)」を口にするよう求められています。 ナジス(不浄なもの)とムタナッジス(不浄に触れたもの) コピルアクの議論で最も重要なのが、この区別です。動物の排泄物は、それ自体が不浄なもの、つまりナジスとされます。一方、もともと清浄なものが不浄に触れて汚れた状態はムタナッジスと呼ばれ、こちらは洗えば清めることができます。 コピルアクの豆を認める学者の多くは、豆はジャコウネコの体内を通っても本質は変わっておらず、外側が汚れただけのムタナッジスであると考えます。逆に、消化によって豆そのものが変わってしまったと考えれば、豆はナジスとなり、洗っても清めることはできません。 清めるための条件:硬く、形を保ち、発芽できること ムタナッジスとして扱うには、豆が硬く、形を保ったまま排出されていることが前提になります。古典的な法学の議論では、植えれば芽を出すことができる状態であることが、豆の本質が変わっていない目安とされてきました。そのうえで、色やにおい、味が残らなくなるまで洗うことで、豆は清められると考えます。 ファトワはどう判断しているか インドネシアとマレーシア:条件付きで許容 インドネシア・ウラマー評議会(MUI)は、2010年7月20日のファトワ(2010年第7号)で、コピルアクの豆はナジスではなくムタナッジスであり、清めたあとはハラールであると判断しました。対象となるのは、殻に包まれたまま形を保ち、植えれば発芽できる豆です。そのうえで、飲むことも、生産することも、売買することも許されるとしています(MUIハラール検査機関の解説(インドネシア語))。 マレーシアでも、国家レベルのファトワ委員会が同じくムタナッジスとして許容する判断を示しています。条件は、豆が穴や割れのない元の形を保ち、植えれば育つこと、そして不浄を取り除くために十分に洗うことです。さらに、販売する前にJAKIM(マレーシア・イスラム開発局)または州のイスラム評議会からハラール認証を受けることも求めています(マレーシア連邦直轄領ムフティ事務所の解説(英語))。サウジアラビアの学者が監修する質疑応答サイトIslam Q&Aも、豆が硬く、外側を洗ってあれば使ってよいという条件付きの回答をしています(Islam Q&A(英語))。 認めない立場 一方で、認めない見解もあります。シーア派の法学者のなかには、豆の構造や風味が消化の過程で変わる以上、洗うだけでは足りないとして、ハラームとする見解があります(Al-Islam.orgの回答(英語))。マレーシアでも、2010年当時のマレーシア・ウラマー協会の会長が、飲むことは禁じられているとテレビで発言しています。 判断した主体 結論 主な理由・条件 インドネシア・ウラマー評議会(MUI) 条件付きでハラール ムタナッジス。豆が殻に包まれたまま形を保ち、発芽できること。清めたあとはハラール マレーシアの国家ファトワ委員会 条件付きで許容 ムタナッジス。豆が元の形を保ち、発芽できること。十分な洗浄と、販売前のハラール認証 Islam Q&A 条件付きで許容 豆が硬く、外側を洗ってあること。形が崩れていれば不浄 シーア派の一部の法学者 ハラーム 消化によって豆が変わるため、洗っても清められない インドネシアのハラール制度:ファトワと認証は別のもの ここで注意したいのは、コピルアクという食品全体についてのファトワと、個々の商品のハラール認証は、別のものだということです。インドネシアのハラール制度では、2014年のハラール製品保証法のもとで、宗教省のハラール製品保証実施機関(BPJPH)が認証書を発行し、MUIはファトワによって商品がハラールかどうかを判断する役割を担っています(ジェトロの解説)。食品へのハラール表示の義務化も、段階的に進められています(ジェトロの最新レポート)。 MUIのハラール検査機関は、2014年の記事の時点で、ハラール認証を取得したコピルアクの生産者はまだいないと説明していました。つまり、ファトワで許容されていることと、手元の商品がハラール認証を受けていることは、必ずしも一致しません。認証が必要な場合は、商品ごとに確認することが大切です。 「タイイブ(良いもの)」という、もうひとつの基準 動物へのいたわりを求めるイスラムの教え イスラムの教えは、動物へのいたわりを強く求めています。自分の支配下にある動物を閉じ込めることは大きな罪であり、生き物を助けることには報いがある、という預言者の言葉も伝えられています(Sira Abdul Rahman、2017年)。 檻飼育は「タイイブ」と言えるのか 動物保護団体のワールド・アニマル・プロテクションは、コーヒーのために檻で飼育されるジャコウネコが、身を隠す場所の少ない狭い檻に入れられ、偏った餌を与えられ、同じ場所を行き来するなどのストレス行動を見せていると報告しています(ワールド・アニマル・プロテクション(英語)) PETAアジアも、インドネシアの農園で、傷を負ったジャコウネコが汚れた金網の檻に入れられている様子を記録しています(PETAの報告(英語))。このような環境でつくられたものを「良いもの」と呼ぶのは難しい、と考える学者や消費者は少なくありません。 ハラーム・リ・ガイリヒ:外的な理由で許されなくなるもの […]
コピルアクはヴィーガンか?野生と檻飼育で答えが分かれる理由

ヴィーガンの方から「コピルアクはヴィーガンですか?」という質問をいただくことが増えてきました。正直にお答えすると、答えは豆がどこから来たのか、そしてどのように回収されたのかによって大きく変わります。この記事では、ヴィーガンという言葉が本来何を意味しているのかを確認したうえで、野生のジャコウネコから回収したものと檻で飼育したものとの違い、そして賛成・反対それぞれの考え方を整理します。最終的な判断は、読み終えたあなた自身にお任せします。 ビーガンの定義:ヴィーガンが本当に意味すること ヴィーガン(ビーガンとも表記されます)は、単に「動物性の食品を食べない」という食事のルールだけを指す言葉ではありません。1944年にこの言葉を生んだ英国のヴィーガン協会(The Vegan Society)は、ヴィーガニズムを「食べ物や衣服、その他あらゆる目的において、可能かつ実行可能な限り、動物に対するあらゆる形の搾取と残酷な扱いを排除しようとする哲学であり、生き方」と定義しています(ヴィーガン協会による定義(英語))。日本語での解説は、NPO法人リブの記事が参考になります。 この定義のなかで、コピルアクを考えるうえで特に重要なのは、「搾取」と「可能かつ実行可能な限り」という2つの言葉です。 「動物の搾取」とは何を指すのか 一般に、動物の搾取とは、動物を商品や道具として扱うことを指します。具体的には、動物を所有すること、閉じ込めること、行動を管理すること、そして動物自身が必要としているものを人間が取り上げることなどです。 「可能かつ実行可能な限り」という前提 もうひとつの言葉は、現実的な限界を認めるものです。現代の暮らしのなかで、動物との関わりを完全にゼロにすることは難しい。だからこそ、ヴィーガンの定義には、できる範囲で搾取を避けるという前提が含まれています。コピルアクの生産方法を考えるとき、この2つの言葉が判断の軸になります。 野生のコピルアクと檻飼育のコピルアクは同じものか コピルアクについての議論では、まったく異なる2つの生産方法が、同じものとして語られてしまうことがよくあります。 檻飼育のコピルアク 檻飼育のコピルアクは、野生から捕獲されたジャコウネコを小さな檻に閉じ込め、コーヒーの実を与えてつくられます。英国オックスフォード大学の野生生物保全研究ユニットと、国際的な動物保護団体ワールド・アニマル・プロテクションの研究者たちは、バリ島の16の農園で飼育されていた48頭のジャコウネコを調査し、その飼育環境が不十分であることを学術誌Animal Welfareで報告しています(Carderほか、2016年)。 表示の問題も指摘されています。動物保護団体PETAアジアの調査では、インドネシアの生産者が、檻で飼育したジャコウネコのコーヒーに「100%野生」と表示することに抵抗はないと話していたことが報告されています(PETAの報告(英語))。また、ナショナル ジオグラフィックは、2013年に英国BBCが行った潜入取材で、檻飼育のジャコウネコによるコーヒーが野生のものとしてヨーロッパで販売されていたことが明らかになったと伝えています。 同誌は2016年の記事で、豆が100%野生由来かどうかを確かめるのは難しいというレインフォレスト・アライアンスの見解や、持続可能なコーヒーの認証制度であるUTZがこのコーヒーを認証しない方針であることも紹介しています(ナショナル ジオグラフィックの記事(英語))。檻飼育の実態については、当社のブログで詳しく解説した記事もご覧ください。 野生のコピルアク 野生のコピルアクは、まったく別のものです。ジャコウネコは自然の森で自由に暮らし、夜になると自分で果実を探して食べる動物です。本能に従って、いちばん熟したコーヒーの実を選びます。回収する人は、ジャコウネコが豆を自然に排出したあとで、それを拾い集めるだけです。ジャコウネコの自由にも、居場所にも、日々の行動にも、人間はいっさい干渉しません。 野生回収ならヴィーガンの考え方に沿うと言える理由 所有も、監禁も、管理もしない 先ほどの「動物の搾取」の考え方に照らすと、野生回収のコピルアクは、搾取とみなされる条件のほとんどに当てはまりません。ジャコウネコは誰の所有物でもなく、檻に入れられることも、行動を管理されることも、人間から餌を与えられることもありません。 回収するのは、ジャコウネコが消化できないもの 人間が回収するのは、ジャコウネコの体が消化できずに排出した豆です。つまり、ジャコウネコ自身が必要としているものを取り上げているわけではありません。森で自然に抜け落ちたシカの角を拾うことや、鳥が果肉だけを食べて落とした種を集めることに近いと考えることもできます。 生態系のなかで、ジャコウネコはもともと種を遠くへ運ぶ役割を担っています。人間はその営みのあとに残ったものを集めているだけで、ジャコウネコ自身は、自分がコーヒーの生産に関わっていることすら知りません。 それでもコピルアクを避けるヴィーガンがいる理由 ヴィーガンのなかでも、この問題を深く考える人たちは、主に2つの理由を挙げます。 動物の体の働きを商品にしているという考え方 コピルアクに高い価値がつくのは、ジャコウネコの体の働きがあってこそです。たとえ直接ふれることがなくても、動物が生産の仕組みの一部になっていることに変わりはありません。一部のヴィーガンにとっては、動物の体の働きを商品に変えること自体が、苦痛の有無にかかわらず搾取にあたります。 需要が檻飼育を生んできたという考え方 世界的なコピルアク市場が広がったのは、需要があったからです。そして、その同じ需要が、生産者に檻での飼育を始めさせてきました。たとえ本当に野生回収のロットを選んだとしても、檻飼育が多くを占める業界全体に「売れる」という合図を送ることになる、という考え方です。 これは、多くのヴィーガンが「動物に配慮して育てた」とうたう肉に向ける見方と同じです。個々の商品には問題がないように見えても、より大きな問題を抱えた業界を当たり前のものにしてしまう、というわけです。 結局、コピルアクはヴィーガンなのか ヴィーガニズムには、ルールを決める中央の機関がありません。ビーガンの定義も、具体的に何が搾取に当たるのかまでは決めていません。そのため、コピルアクはヴィーガンかという問いへの答えは、最終的に「搾取」という言葉を一人ひとりがどう解釈するかによって決まります。 動物との直接の接触や所有に注目する人は、野生回収のコピルアクを受け入れられると考える傾向があります。市場全体への影響や需要が生む結果に注目する人は、どのような形であっても避ける傾向があります。どちらの考え方にも、筋の通った理由があります。 もしコピルアクを検討するのであれば、何よりも大切なのは、「ワイルド」という表示そのものではなく、その豆がどこから来たのかを確かめられること、つまり透明性です。表示だけで判断しないためのポイントは、ラベルにだまされないためのチェックポイントにまとめています。 よくある質問 そもそも、ヴィーガンはコーヒーを飲めるのですか? はい。コーヒー豆そのものは植物なので、一般的なコーヒーはヴィーガンの方も飲むことができます。気をつけたいのは、牛乳や生クリームなど、一緒に加えるものです。ミルクを入れたい場合は、豆乳やオーツミルクなどの植物性ミルクを選ぶ方が多いようです。 ジャコウネコのコーヒーはヴィーガンの人も飲めますか? ここまで見てきたとおり、意見が分かれます。檻飼育のものは、ヴィーガンの定義にある搾取に当たるという見方が一般的です。野生回収のものについては、受け入れる人もいれば、市場への影響を理由に避ける人もいます。ご自身の考え方に照らして判断してください。 「ワイルド」と書かれていれば安心ですか? 表示だけでは安心とは言えません。前述のとおり、檻飼育のものに野生と表示している例も報告されています。どこで、誰が、どのように回収したのかを示す書類があるかどうかを確認することをおすすめします。 判断に必要な情報を、すべてお見せします Kopiluwak Coffeeが扱うのは、インドネシアの森で自由に暮らす野生のジャコウネコから回収した豆だけです。飼育場も檻も使わず、回収から出荷までの工程を当社が直接管理しています。野生回収であることを示す書類は、認証のページでご確認いただけます。 たとえば、スマトラ島のアチェ ガヨ ルワックや、スラウェシ島のトラジャ ルワックも、産地まで確認できるロットとしてお届けしています。全5種類のラインナップは、1kgあたり25〜109米ドルです。まずは少量で確かめたい方には、100米ドルのデポジットでサンプルをお送りしています(デポジットは本注文の代金に充当されます)。詳しくはサンプルポリシーをご覧ください。 コピルアクを飲むかどうか、そしてコピルアクはヴィーガンと言えるかどうかは、あなた自身が決めることです。私たちにできるのは、その判断に必要な情報を、隠さずにお見せすることだけです。 Pippo ArdillesPippo […]
コーヒー豆のグレードとは?インドネシアのSNI規格からコピルアクの選別まで

コーヒー豆のグレードとは、生豆を販売する前に、その物理的な品質によって分類する仕組みです。基準になるのは、欠点豆の数、豆の大きさ、水分量といった、測ることのできる要素です。グレードは価格を決め、どの豆がスペシャルティコーヒーの候補になるかを左右し、品質の劣る豆に高いお金を払ってしまうことから買い手を守ります。この記事では、グレーダーが実際に何を測っているのか、インドネシアのSNI規格ではどのように等級が分かれるのか、そして野生のコピルアクがどのように選別されているのかを解説します。 コーヒー豆のグレードは何を測っているのか 要素 内容 なぜ重要か 欠点数 サンプルに含まれる欠点豆や異物の数 世界の多くの等級制度の中心となる指標 スクリーンサイズ ふるいで測る豆の大きさ 大きさがそろうと焙煎ムラが出にくく、丁寧な選別の証にもなる 水分値 生豆に含まれる水分の割合 多すぎるとカビの原因に、少なすぎると風味が損なわれる カップの品質 訓練を受けた専門家が味わって評価 スペシャルティコーヒーと、単に欠点の少ないコーヒーとを分ける 欠点豆の数 欠点豆とは、虫食いや割れ、黒く変色した豆など、風味を損なう原因になる豆のことです。異物も含めて、決められた量のサンプルのなかにどれだけ含まれているかを数えるのが、ほとんどの等級制度の基本です。日本スペシャルティコーヒー協会も、スペシャルティコーヒーの条件として、生豆から焙煎豆に至るまで欠点豆が極めて少ないことを挙げています(スペシャルティコーヒーの定義)。 スクリーンサイズ 豆の大きさは、決まった大きさの穴が開いたふるい(スクリーン)を使って測ります。大きさのそろった豆は均一に焙煎でき、生産者が丁寧に選別していることの表れでもあります。 水分値 生豆の水分が多すぎると保管中にカビが生えるおそれがあり、少なすぎると風味が抜けてしまいます。後述するインドネシアのSNI規格では、水分値の上限を12.5%と定めています。 カップの品質 最後は、訓練を受けた専門家による味の評価です。物理的な欠点が少ないだけでは、スペシャルティコーヒーとは呼べません。香りや風味、酸味、余韻などを実際に味わって評価することで、ただきれいなだけのコーヒーと、際立った魅力を持つコーヒーとが分けられます。当社でのカップ評価の基準は、フラッグシップ商品を紹介した記事で紹介しています。 インドネシアのSNI規格によるコーヒーの等級 インドネシアの生豆は、国家規格であるSNI(SNI 01-2907-2008)に基づいて等級が決められます。300gのサンプルに含まれる欠点を点数化した「欠点値」によって、次の6つのグレードに分類されます(インドネシア農業省 バリ州機関の解説)。 SNIのグレード 300gあたりの欠点値 市場での位置づけ グレード1 11以下 輸出品質。スペシャルティの候補 グレード2 12〜25 上位のコマーシャル品質 グレード3 26〜44 良好なコマーシャル品質 グレード4 45〜80(ロブスタ種は4a:45〜60、4b:61〜80) 標準的なコマーシャル品質 グレード5 81〜150 下位のコマーシャル品質 グレード6 151〜225 取引される最低限の品質 SNI規格では、アラビカ種のグレード4は4aと4bに分けられません。また、すべてのグレードに共通する条件として、生きた虫や腐敗臭・カビ臭のある豆がないこと、水分値が12.5%以下であること、異物が0.5%以下であることが求められています。 コピルアクはどのように選別されるのか 最初の選別はジャコウネコが行う コピルアクには、ほかのコーヒーにはない大きな特徴があります。最初の選別が、人の手が入る前に行われるのです。夜に餌を探す野生のジャコウネコは、完全に熟した甘い実だけを選んで食べます。つまり、未熟な実や欠点のある実は、木の上の段階ですでに選り分けられているのです。 洗浄、乾燥、脱殻、そして一粒ずつの手選別 […]
キンタマーニのルアックコーヒー|カッピング85点以上を条件とする当社のフラッグシップ

どの生産者にも、看板を背負う商品がひとつあります。Kopiluwak Coffeeにとって、それがキンタマーニのルアックコーヒー、「バリ キンタマーニ ルワック」です。この記事では、この一杯がどこで、どのように生まれ、どんな味わいなのか、そしてなぜ当社のフラッグシップと呼べるのかを、品質評価の基準とあわせてご紹介します。 キンタマーニのルアックコーヒーとは 野生のジャコウネコが選んだキンタマーニのアラビカ キンタマーニのルアックコーヒーは、厳選したキンタマーニ産アラビカ種の実のなかから、自由に暮らす野生のジャコウネコが選んで食べ、その体内で自然な発酵を経た豆からつくられます。ジャコウネコは本能的に、いちばん熟した甘い実だけを口にします 豆は形を保ったまま体内を通り抜け、そのあいだに苦味のもとになる成分が変化することで、苦味が抜け、酸味がやわらぎます。キンタマーニは何世代にもわたって、こうしたルアックの原料となる豆を育ててきた土地でもあります。 なぜフラッグシップと呼べるのか 理由は3つあります。キンタマーニのアラビカはバリでも特に評価の高いコーヒーであること。この高原で野生のジャコウネコから得られる量がごく限られていること。そして、出荷するすべてのロットに、カッピングスコア85点以上という条件を課していることです。 どこで生まれるのか:バトゥール山のふもとの高原 火山の土壌と、涼しい高原の空気 キンタマーニは、バリ島北東部のバトゥール山周辺に広がる高原です。火山がもたらした土壌と涼しい山の空気が、島でも特に名高いアラビカ種を育てています。産地の背景や観光農園の実情については、バリ島で飲む前に知っておきたいことの記事でも詳しく紹介しています。 農場も、請負業者も、檻も使わない このコーヒーの豆は、高原で自然に暮らす野生のジャコウネコから、当社の経験豊富なチームが回収しています。飼育場も請負業者も使わず、檻に入れられた動物はどの段階にも関わりません。農園の地面からロースターに届くまで、すべての工程を当社が直接管理しています。檻での飼育の問題点については、倫理面の解説記事をご覧ください。 バリコーヒーの味:カッピングプロファイル 香り・風味・酸味・ボディ 当社の公式なカッピングプロファイルは、次のとおりです。 全体の印象は、重さより上品さ、素朴さより洗練。バリコーヒーの味を、繊細なかたちで表現した一杯です。 Qグレーダーの評価:85点以上のロットだけを出荷 コーヒーのカッピングとは、決められた手順で抽出したコーヒーを専門家が味わい、香りや風味、酸味、ボディなどを点数で評価する方法です。当社では、SCA(スペシャルティコーヒー協会)のQグレーダーとスターカッパーの資格を持ち、国際的なコーヒー競技会の審査員も務めるヘリー・セティアワン(Herry Setiawan)が、すべてのロットを評価しています。 スペシャルティコーヒーの目安とされるのは、カッピングスコア80点以上です。キンタマーニのルアックコーヒーは、それを上回る85点以上という、Qグレーダーの評価で裏づけられたロットだけを出荷しています。豆の格付けの考え方については、コーヒー豆のグレーディングの解説(英語)もご覧ください。 おすすめの淹れ方 90〜96℃のお湯を使い、ペーパードリップなどの透過式なら中挽き、エスプレッソなら細挽きにします。まずはブラックで、バニラやアーモンドの繊細な香りを確かめてみてください。詳しい手順は飲み方のガイドで紹介しています。 ご注文時にお届けするもの 生豆とパーチメントのご注文には、植物検疫・検疫関連の費用として1注文あたり28米ドルがかかります。焙煎豆と粉は、ご注文を受けてから準備します。ご注文はバリ キンタマーニ ルワックの商品ページから、サンプルの条件はサンプルポリシーからご確認ください。 よくある質問 なぜバリ キンタマーニ ルワックは、ラインナップでいちばん高価なのですか? キンタマーニのアラビカがバリでも特に評価の高いコーヒーであること、この高原の野生のジャコウネコから得られる量がごく限られていること、そしてすべてのロットがカッピングスコア85点以上という条件を満たさなければならないことが理由です。ほかの産地やロブスタ種との違いは、品種による違いを解説した記事や5つの産地の比較の記事もご覧ください。 本当に野生回収ですか? はい。豆はすべて、バリの高原で自由に暮らす野生のジャコウネコから、飼育場や請負業者ではなく当社のチームが回収したものです。野生回収であることは認証でもご確認いただけます。 1袋まるごと注文する前に、味を確かめられますか? はい。100米ドルのデポジットでサンプルをお送りしています。デポジットは本注文の代金に充当されます。 物語だけで売らない、という選択 コピルアクの多くは、その物語だけで売られています。ジャコウネコ、希少性、価格。けれども、それだけではカップの中身は保証されません。認定Qグレーダーがすべてのロットを評価し、85点以上という基準を課すのは、スペシャルティコーヒーの世界で上位に用いられる考え方であり、コピルアクの市場ではまだ一般的とは言えません。 物語ではなく、カップそのもので選んでいただける一杯を。それが、キンタマーニのルアックコーヒーを当社のフラッグシップとしてお届けする理由です。偽物を避けるためのポイントは、偽物を見分ける6つのサインでまとめています。 Pippo ArdillesPippo is an expert in Kopi Luwak with a deep passion for exploring […]
アラビカとロブスタの違いとは?コピルアクで選ぶならどちらか

どのコピルアクも、始まりは同じです。野生のジャコウネコが、木になっている実のなかからいちばん熟したものを選んで食べることから始まります。けれども、そのあとカップに届く味わいは、ジャコウネコが食べた豆がアラビカ種かロブスタ種かによって大きく変わります。この記事では、アラビカとロブスタの違いを整理したうえで、ジャコウネコの体内での変化がそれぞれの品種に何をもたらすのか、そしてどちらを選べばよいのかを解説します。 アラビカとロブスタの違い 育つ場所と育ち方 アラビカ種は標高の高い土地で育ち、実がゆっくりと熟します。そのため、香りが豊かで複雑な、やさしい甘さのある一杯になります。一方のロブスタ種は、より暖かい低地でも早く育ち、苦味の強い力強い豆になります。東日本コーヒー商工組合の解説によると、ロブスタ種は標高300〜800mほどの低地でも栽培でき、病気に強いことから、アラビカ種の栽培に向かないアジアの国々で盛んに育てられています(ロブスタの解説)。 ロブスタ種のカフェイン量はアラビカ種の約2倍 もうひとつの大きな違いがカフェインです。ロブスタ種のカフェイン量は、アラビカ種のおよそ2倍とされています。豆に含まれるカフェインは、アラビカ種が約1.5%、ロブスタ種が約2.7%という報告もあります(ロブスタ種の概要)。 どちらが本物、どちらが上というわけではない 日本では、ロブスタ種は缶コーヒーやブレンドに使われることの多い豆として知られています。しかし、ロブスタ種が偽物のコーヒーというわけではなく、アラビカ種が自動的に優れているわけでもありません。コピルアクの品種を選ぶことは、どちらが上かではなく、どんな一杯を楽しみたいかを選ぶことなのです。 アラビカ種のコピルアクとロブスタ種のコピルアク:早見表 比べるポイント アラビカ種のコピルアク ロブスタ種のコピルアク 風味の個性 複雑で香り高い。チョコレートやナッツ、やさしい甘さ 大胆で力強い。ダークでアーシーな深み カフェイン 標準的 アラビカ種の約2倍 酸味 もともと穏やかで、発酵によってさらにやわらぐ もともと低く、発酵によってなめらかに ボディ 軽やか〜マイルドで上品 重厚で力強い 育つ標高 高地 低地 当社の価格(1kgあたり) 35〜109米ドル(ガヨ、キンタマーニ、ジャワ、トラジャ) 25〜73米ドル(スマトラの低地) こんな楽しみ方に ゆっくり味わう一杯、飲み比べ、贈り物 朝の濃い一杯、エスプレッソ、ミルクを使ったドリンク ジャコウネコは何を変えるのか ジャコウネコの体内での発酵は、どちらの品種であっても、苦味のもとになるタンパク質を分解すると考えられています。ただし、その効果の表れ方は品種によって異なります。ここに、アラビカとロブスタの味の違いが生まれる理由があります。 アラビカ種:もともとの上品さを、さらに洗練させる もともと香り高いアラビカ種は、ジャコウネコを経ることで、シルクのようななめらかさを帯びます。酸味はさらに穏やかになり、すっきりとした余韻が残ります。実際の味わいについては、味わいの解説記事もご覧ください。 ロブスタ種:荒々しさを和らげ、力強さは残す ロブスタ種の場合、ジャコウネコの働きは、荒々しさで知られる品種をなだめることにあります。角のある苦味はやわらぎますが、力強さとカフェインはそのまま残ります。そのため、穏やかでありながら、しっかりとした飲みごたえのある一杯になります。 どちらを選ぶべきか 風味を重視するならアラビカ種 何よりも風味を重視するなら、アラビカ種を選びましょう。当社では4つの産地をご用意しています。 力強さや価格を重視するならロブスタ種 濃い一杯が好きな方、エスプレッソやミルクを使ったドリンクに使いたい方、あるいは1kgあたり25米ドルからという手頃な価格を重視する方には、ロブスタ ルワックがおすすめです。 よくある質問 アラビカ種のコピルアクは、ロブスタ種より優れていますか? どちらかが客観的に優れているわけではありません。アラビカ種は香りの複雑さと上品さに、ロブスタ種は力強さとカフェイン、そして手頃な価格に強みがあります。 ロブスタ種のコピルアクは、カフェインが多いですか? はい。ロブスタ種はもともとアラビカ種の約2倍のカフェインを含んでおり、ジャコウネコの体内を経てもカフェインがなくなるわけではありません。 ロブスタ種のコピルアクが安いのはなぜですか? ロブスタ種は成長が早く、標高の低い土地でも育つため、高地で育つアラビカ種に比べて原料となるコーヒーのコストが低いからです。野生のジャコウネコから回収する手間は、どちらも変わりません。 迷ったら、両方を飲み比べる Kopiluwak Coffeeは、アラビカ種、ロブスタ種の両方で、認証付きの野生回収のコピルアクをご用意しています。最低注文金額は100米ドルなので、2つの品種を並べて飲み比べることもできます。どちらか一方を選ぶ必要はありません。両方のカップを比べて、ご自身の好みを確かめてください。 […]
イタチコーヒーとコピルアクはどう違う?

イタチコーヒーは、英語で「ウィーゼルコーヒー(weasel coffee)」と呼ばれる、ベトナムのジャコウネコのコーヒー「カフェ・チョン(cà phê chồn)」の通称です。ベトナムのコピルアクと紹介されることもあります。そして多くの人が驚くのが、実はイタチはまったく関わっていないということです ベトナムのものも、インドネシアで作られるコピルアクも、同じマレージャコウネコから生まれます。つまりこれは、違う動物の比較ではありません。ひとつの自然な製法が2つの国で受け継がれ、まったく異なる結果を生んでいるという話です。 ジャコウネコとイタチの違い ジャコウネコ科とイタチ科は別の動物 コーヒーの実を食べるのは、ジャコウネコ科に属するマレージャコウネコです。一方、イタチはイタチ科の動物で、分類上はまったく別のグループに属しています。 なぜ「イタチ」と呼ばれるようになったのか 混乱の原因は2つあります。ひとつは、初期の翻訳者が英語圏の読者になじみのある言葉として「weasel(イタチ)」を選んだこと。もうひとつは、細長い体つきが似ていることです。その呼び名が英語の商品名として定着し、日本でも「イタチコーヒー」という名前で知られるようになりました。 イタチコーヒーとコピルアクの5つの違い 1. 豆:ベトナムはロブスタ、インドネシアは両方 ベトナムのコーヒーは、1857年にフランスの宣教師によって持ち込まれたとされています。いまやベトナムはブラジルに次ぐ世界第2位のコーヒー生産国で、その生産量の約97%をロブスタ種が占めています(ベトナムのコーヒー生産)。中部高原のバンメトートを中心とする産地が、その生産を支えています。そのため、ベトナムのコピルアクも、ほとんどがロブスタ種から作られます。 インドネシアの火山の地形は、標高1,200mを超える高地でのアラビカ種と、低地でのロブスタ種の両方を育てます。糖分をたっぷり含んだ高地のアラビカ種の実は、ジャコウネコの体内の酵素にとって、格好の原料になります。Kopiluwak Coffeeでも、アチェ ガヨ、キンタマーニ、トラジャのアラビカ種に加え、ロブスタ ルワックをご用意しています。 2. 生産方法:ベトナムは飼育中心、インドネシアは野生回収の伝統 ベトナムでは、ダラットなどの観光地の近くにジャコウネコの飼育施設があり、檻の中の個体に決まった時間にコーヒーチェリーを与えて、安定した量を生産しています。しかし檻の中のジャコウネコは、自由に歩き回って最も熟した実だけを選ぶことができません。そもそも、その選別こそがこのコーヒーの価値の源なのです。 一方、インドネシアの上質なコピルアクの伝統は、野生回収にあります。自由に暮らすジャコウネコが自分で実を選び、人はその豆を森や農園の地面から毎日拾い集めます。収穫量は季節に左右され、ごくわずかで、すべてが手作業です。飼育の問題点については、倫理面の解説記事をご覧ください。 3. 味:濃く力強い一杯か、なめらかで酸味の穏やかな一杯か ロブスタ種は一般にアラビカ種の約2倍のカフェインを含むとされ、苦味が強く、ボディも重い傾向があります。ジャコウネコの体内での発酵はその角をやわらげますが、品種そのものを変えることはできません。さらにベトナムでは、豆を深煎りにし、バターや油を加えて焙煎することも伝統的に行われてきました。その結果、ベトナムの一杯は濃厚でスモーキー、チョコレートシロップのような味わいになります。 インドネシアで作られるコピルアクは、中煎りで発酵の効果を生かすのが一般的です。酸味は穏やかで、シルクのようになめらかなボディと、すっきりした余韻が特徴です。詳しくは味わいの解説記事をご覧ください。 4. 飲み方:フィンとコンデンスミルクか、ブラックでゆっくりか ベトナムコーヒーといえば、「フィン」と呼ばれる小さなフィルターで数分かけて一滴ずつ抽出し、甘いコンデンスミルクの上に注ぐスタイルです。新鮮な牛乳ではなくコンデンスミルクが使われてきたのは、熱帯の気候でも手に入りやすく、保存しやすかったためです。そしてコンデンスミルクは、深煎りロブスタの力強さを受け止めるのにぴったりの組み合わせでもあります。 インドネシアでは、コピルアクをブラックで楽しむのが一般的です。浸漬式やドリップ、インドネシア伝統のトゥブルックなどで淹れ、ゆっくり味わいます。ミルクや砂糖が担うはずの「やわらげる」役割を、ジャコウネコがすでに果たしてくれているからです。おすすめの淹れ方は飲み方のガイドで紹介しています。 5. 値段:日常の中のエキゾチックか、世界有数の高価なコーヒーか イタチコーヒーの値段は、一般に1kgあたり50〜150米ドルほどで、中価格帯からやや高めの位置にあります。飼育による生産は量が安定しているため、価格を抑えやすいのです。一方、インドネシアの野生のコピルアクは、海外の小売価格で1kgあたり数百米ドルになることも珍しくありません。季節に左右されるわずかな収穫、一粒ずつの回収、手作業での選別と不良豆の除去。そのすべてが価格に反映されます。背景は価格の解説記事や1kgあたりの相場の記事で詳しく紹介しています。 価格は、どちらの市場でも本物かどうかを見分けるサインになります。「野生」と表示されたコピルアクが飼育されたベトナム産並みの価格で売られていたら、本物である可能性は低いでしょう。また、極端に安いベトナム産の商品は、そもそもジャコウネコを経ていない豆であることが少なくありません。 元祖はどちら?答えはインドネシア どちらが先かといえば、答えははっきりしています。ジャコウネコのコーヒーは、植民地時代のインドネシアのコーヒー農園で生まれ、ベトナムよりも先にこの習慣が根づきました。その経緯はインドネシアで生まれた歴史の記事で詳しく紹介しています。 どちらの市場にもある偽物に注意 イタチコーヒーにもコピルアクにも、偽物は存在します。次のようなサインには注意しましょう。 ベトナムのコピルアクには、さらに特有の問題があります。普通の豆を酵素に浸してジャコウネコの効果をまねた「模造イタチコーヒー」とも呼べる商品が存在し、ありえないほど安い価格で、本物と同じ名前で売られていることがあるのです。具体的な見分け方は、偽物を見分ける6つのサインの記事で解説しています。野生回収であることを確かめたい方は、当社の認証もご覧ください。 Pippo ArdillesPippo is an expert in Kopi Luwak with a deep passion for exploring its uniqueness […]
コピルアクの偽物を見分ける6つのサイン|本物と偽物の違いを生産者が解説

高価なコーヒーを買ったのに、中身はただの普通の豆だった。コピルアクの偽物は、それほど珍しいものではありません。業界では、この名前で売られているコーヒーの大半が本物ではないと見られています。この記事では、価格、産地、証明書、在庫、パッケージ表示、そして味わいという6つのサインから、コピルアクの本物と偽物を見分ける方法を、インドネシアの生産者の立場から解説します。 なぜコピルアクの偽物がこれほど多いのか 理由は単純で、需要と供給の差があまりにも大きいからです。野生のジャコウネコから回収されるコピルアクの量は、世界全体でも年間数百キログラム規模とされています。一方で、世界のコーヒー生産量は国際コーヒー機関の統計で年間およそ100億キログラムにのぼります。この圧倒的な差と高い価格が、偽物を生み出す温床になっているのです。 コピルアク、別名ルアックコーヒーの偽物には、普通のコーヒーにラベルを貼り替えただけのもの、ごく少量のジャコウネコ由来の豆を普通の豆に混ぜたもの、そして檻で飼育されたジャコウネコから作られたものがあります。どれも「コピルアク」という名前で売られているため、買う側が見分ける目を持つことが大切です。 コピルアクの本物と偽物を見分ける6つのサイン ここでは、購入前に使えるコピルアクの見分け方を、6つのサインにまとめました。 サイン1:価格はうそをつかない 野生のコピルアクが安く手に入ることはありません。回収する人は、ジャコウネコの糞を探して農園や森を歩き回りますが、ひとつの糞から採れる豆はほんのひと握りです。1kgを集めるだけで何週間もかかり、そのあとに洗浄、乾燥、手作業での選別、そして証明書類の準備が続きます。 ひと袋が20〜30米ドルほどで売られていたら、それはジャコウネコとは無関係の豆か、檻で飼育された個体の豆だと考えてよいでしょう。ただし、高いから本物とは限りません。偽物を作る側も、高い価格が商品をそれらしく見せることをよく知っているからです。価格がどのように決まるのかは、1kgあたりの相場の記事で解説しています。 サイン2:産地を具体的に名乗れるか 本物は、必ずどこか特定の場所から来ています。野生回収は、名前のある農園や森と結びついているからです。「インドネシア製」「アジア産」とだけ書かれたラベルや、地名のない「エキゾチックなシベットコーヒー」といった表示には注意が必要です。 試しに、販売者に「豆はどの地域から来ていますか」と尋ねてみてください。本物の生産者は、具体的に、そして熱意を持って答えてくれます。偽物を扱う販売者は、話をぼかすか、返事をしなくなります。インドネシアの島ごとの産地の違いを知っておくと、答えの具体性を判断しやすくなります。 サイン3:証明書があるか、購入前に確認する この市場では、本物であることは証明できます。つまり、証明がないこと自体がひとつの証拠です。確認したいのは、野生回収であることを示す証明書、輸出書類、そして必要に応じた分析による確認です。インドネシアと日本の研究者は、ジャコウネコを経た豆と普通の豆を化学的に判別する方法も報告しています。 「証明書はあります」と言いながら一向に見せない販売者や、「信用してください」とだけ言う販売者は要注意です。証明書は、支払いの前に確認しましょう。支払ったあとでは遅すぎます。当社の認証もご確認いただけます。 サイン4:品切れがあることは、むしろ安心材料 野生のコピルアクの量を決めるのは、需要ではなく自然です。年間の生産量は数百キログラム規模で、季節や回収の状況によって左右されます。一年中いくらでも在庫があり、コンテナ単位ですぐに出荷できると言う販売者には疑いの目を向けましょう。 ロットが売り切れて、次の収穫を待たなければならないこともあります。その待ち時間こそが、本物であることを示す最も確かなサインのひとつです。 サイン5:コピルアクのパッケージ表示を細かく読む 「コピルアク ブレンド」と表示された商品には、ジャコウネコ由来の豆がごくわずかしか入っておらず、大部分が普通のコーヒーという場合もあります。それでいて価格は高級品並みです。「ルアック風味」「ルアック風」「シベット製法にインスパイア」といった表現も、ジャコウネコの関与がほとんどないことを示すサインです。 本物の商品は、「100%ピュア」「シングルオリジン」「野生回収」と明記し、産地名と調達方法の証明を示しています。袋を開けたら豆も見てみましょう。本物は手作業で丁寧に選別されているため、割れや欠けの少ない豆がそろっています。焙煎日が記載されているかどうかも確認してください。 サイン6:カップは真実を語る 本物の野生コピルアクは、驚くほどなめらかで、酸味が穏やか。重く、シロップのようなボディに、アーシーなチョコレートの深みと、長くクリーンな余韻が続きます。ジャコウネコの体内での自然な変化によって苦味のもとになるタンパク質が分解されるため、普段ブラックで飲まない人でも、ブラックのまま楽しめることが多いコーヒーです。詳しくは味わいの解説記事をご覧ください。 偽物は、高い価格の割に普通のコーヒーと変わらない味がしたり、本来なら消えているはずの苦味があったり、ラベルを貼り替えた古い在庫のように平板で気の抜けた味がしたりします。ただ、味で気づいたときには、すでにお金を払ったあとです。だからこそ、味わいは1番目ではなく6番目のサインなのです。 見分ける手間をかけずに選ぶなら 6つのサインに沿ったKopiluwak Coffeeの取り組み Kopiluwak Coffeeは、6つのサインをすべて満たすことを前提に商品をお届けしています。 5つの産地から選べる ガヨ、キンタマーニ、ジャワ、トラジャ、ロブスタの5つの産地を、パーチメント、生豆、焙煎豆、粉の形でご用意しています。産地ごとの特徴と価格は、5つの産地を比較した記事でまとめています。価格は形態によって異なり、変更されることがありますので、ご注文前に商品ページで最新の価格をご確認ください。日本国内での購入先の比較は、どこで買えるかをまとめた記事も参考にしてください。 日本からのご注文方法 Kopiluwak Coffeeはインドネシアのメダンを拠点に、日本を含む世界各国へ出荷しています。 Pippo ArdillesPippo is an expert in Kopi Luwak with a deep passion for exploring its uniqueness and heritage. With years […]